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小児外科

 

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小児外科 患者の皆さまへ

小児外科のご紹介

Pediatric surgery

小児外科では15歳以下の小児の外科的疾患(主に消化器・一般外科)の診療を行っております。
子どもは身体や心が成長段階にあり、大人とは異なった特有の身体的、生理学的特徴を持っています。このような子どもの特性を念頭におき、成長・発達を妨げないように考慮して治療を行わなくてはなりません。私たちは、病気を治すことはもちろん、手術後の身体機能の保持とともに、身体や心にできる限り傷跡を残さないように配慮して診療を行なっています。

小児外科への質問

乳児健診でソケイヘルニアと言われました。どうしたらよいですか?
出生時に消失しているはずの腹膜の一部(腹膜鞘状突起)が残存し、足の付け根のところ(ソケイ部)で落とし穴のようになっている病態を鼠径ヘルニアといいます。
お腹に力がかかった際(排便時・入浴時など)に、足の付け根がピンポン玉のようにふくらむことで気づかれる場合が多いです。
原則として手術が必要です。手術術式については、当院では患児の病態によって、従来の高位結紮法と腹腔鏡下鼠径ヘルニア根治術(LPEC法)のどちらで行うか選択をしています。
臍ヘルニアと言われました。どうしたらよいですか?
臍ヘルニアとはいわゆる「でべそ」のことで、生後2週から1ヶ月に赤ちゃんの臍の突出として指摘されます。臍帯が取れたあとの穴(臍輪)がふさがるのが遅いときに生じやすいです。
2歳くらいまでに自然に治ることが多いので、これまでは経過観察をすることが多かったのですが、最近は「圧迫療法」というおへそに綿球やスポンジを置いてテープで固定する治療が見直されています。当院では綿球を用いて圧迫を行い、1週間ごとに通院していただき張り替えを行っています。2歳を超えて突出が強く皮膚が余った状態やヘルニアの残っている場合には、手術をお勧めしています。

小児外科 臨床診療

小児外科領域ではこの10年間で222例の全麻手術症例を経験しました。
症例の内訳としては小児外科疾患の中で最も多い鼠径ヘルニアが約1/4を占めています。
当院の特徴としては、小児科からの脳性麻痺などの経口摂取困難な患児の紹介が多く、胃瘻造設術や噴門形成術が全体の約1/5を占めています。

小児外科 基礎研究

光バイオプシー技術「ラマン分光法」を用いた
ヒルシュスプルング病に対する術中リアルタイム診断法の開発

図1:H病手術の現状と光バイオプシー技術の役割

光バイオプシーは、光学技術を用いて非侵襲的に生体情報を得る技術の総称です。光バイオプシーの中でも、特に「ラマン分光法」は物質にレーザー光を照射した際の分子の固有振動によって生じる散乱光を利用しています。
当科では、このラマン分光法を用いて、ヒルシュスプルング病の術中リアルタイム診断法を開発するための研究を行なっています。

図2:ラマン分光法により同定されたヒト腸管壁内神経細胞
神経叢および筋で測定されたラマンスペクトルを判別するとほぼ100%の特異度で神経叢を同定